聖火と呼ぶのは日本だけ

2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技も、あと2年に迫ってきました。
オリンピック開会前に繰り広げられる、聖火リレーも楽しみです。

この聖火リレーですが、日本ではオリンピアの火を絶やさないようにオリンピック会場へ届ける、神聖な儀式というイメージがありますが、実は聖火と呼ぶのは日本だけです。
オリンピックの公式用語ではOlympic flameといい、英語ではtorch relayといいます。
Olympic flameは日本語に訳すとオリンピックの火、torch relayとは松明リレーという意味で、聖なる火という意味付けはまったくありません。

世界が聖火リレーに求めているのは、エンターテイメント性豊かなイベントです。
これまでにもシドニーオリンピックでの海中リレーや、ソチオリンピックで宇宙ステーションなど、インパクトのあるイベントが行われてきました。

前回のオリンピックの舞台となったリオの聖火リレーでも、単に聖火を持って走るのではなく、さまざまなイベントが行われました。

さまざまなパフォーマンスで聖火をリレー

2016年リオオリンピックでの聖火リレーは5月3日、ブラジリアからスタートしました。
1万2000人ものランナーが参加して国内各地を巡り、8月4日にリオへと到着します。

聖火リレーを盛り上げるためにさまざまな工夫が凝らされており、陸路を走るだけでなく熱気球やハングライダーなど空路での移動も行われます。
空路の移動距離は1万6000キロ、陸路は2万キロ。
聖なる火を絶やさないように大切に守りながら移動すると同時に、観客を魅了するさまざまなパフォーマンスが披露されました。

たとえば、初日に登場したのは聖火のコスプレをして、頭上に聖火を燃やしながら走った男性。
このコスプレ衣装は後日、ブラジルの通販サイトで販売されたそうです。

また、片足を高く上げて、もう片方の足だけで飛ぶように移動する男性や、ウォータースライダーで水上をすべり降りる男性、聖火リレー中に恋人にプロポーズをする男性、サッカーのリフティングをしながら移動する男性、カポエイラを披露する男性など、さまざまな人が聖火リレーを楽しんでいます。
さらには、海でサーフィンをする男性も……。
こけたら海に転落して聖火が消える危険があるのに、大胆です。

このように楽しいイベントの聖火リレーですが、数々の妨害にも会いました。
妨害ではリオデジャネイロ州のアングラドスヘイス市を通過するランナーに、市民らが卵や石を投げつけるというケースも……。
これはアングラドスヘイス市が財政難に陥っており、公立病院が閉鎖されるなど市政が滞っていることから、市民たちが状況改善を要求するための抗議活動として行われました。

また、水の入ったバケツを聖火に投げつけて火を消そうとする愉快犯もおり、現行犯逮捕されています。
それだけではありません。
消化器を噴射して火を消そうとする妨害行為も行われました。
幸い、妨害活動によっても聖火は消えませんでしたが、アングラドスヘイス市民の抗議活動では子どもがケガをするなどの被害が出ています。

2020年東京オリンピック・パラリンピックでは、どのような聖火リレーが行われるのでしょうか。