レッドブルとエクストリームスポーツの繋がり

レッドブルの創業者であるマテシッツは、ビジネスマン時代、出張先のタイで地元の人達に好まれていた栄養ドリンクを見つけました。
当時の欧米にはそのような栄養ドリンクは存在しなかったので、これは流行ると思い会社を退職し、新たなビジネスとして商売を始めました。
”エナジードリンク”と新しくカテゴライズされたこのドリンクは瞬く間に爆発的にヒットしました。

元々出回っていた栄養ドリンクは、どれも疲労回復を目的とする物でした。
しかしエナジードリンクは、キャッチコピーである「翼をさずける」という言葉からもわかる通り、気合を入れたい時やアミューズメントを思いっきり楽しみたい時に飲むものというコンセプトで売り出しています。

さらにレッドブルを世に広める為には、この商品を必要としているターゲットを絞り、マーケティングしていく事が重要だとマテシッツは考えました。
大事な面接の前や、楽しみにしていたライブに向かう前など、気持ちを高ぶらせる事が出来るドリンクだという事をアピールしていきました。
消費者の体験と商品を結びつける戦略を打ち出してきたのです。
そういった戦略の一つが、エクストリームスポーツのサポートだったのです。

また創業時にマテシッツは、「レッドブルが競争すべきライバルは存在せず、これから私たちが新たな市場を作っていく」と話していたと言います。
そういった姿勢がスポーツにおけるエクストリームスポーツの立ち位置と似ている為、両者は相性が良いのでしょう。

実は飲料メーカーではないレッドブル

レッドブルは、生産や流通を外部企業に任せ、商品開発も自社では行っていません。
「自社ではやらない事」を明確にしているのです。
その一方で、エクストリームスポーツのスポンサーやイベントの協賛を積極的に行う事でそのブランド名を世界に広めてきました。
今では、エナジードリンク市場で世界の6、7割のシェアを誇っています。

新商品の開発には投資せずただひたすらにブランド名を広め、競争力を強化していく為に、マーケティングに莫大な投資をしていく事で現在の地位を築いてきました。
他社は成分にこだわったり、新しい味を開発したりと商品を横に広げて行きますが、レッドブルはやる事とやらない事が明確で、しかも商売にとって重要であるマーケティングを中心に事業を展開しています。
それこそがレッドブルの強味なのです。

いまだに非上場であるレッドブルは、株主からの意見に左右される事がありません。
その分、目立った事が出来るのです。
そして、エクストリームスポーツをサポートする事こそが、商品を目立たせる、とても効果的なマーケティングとなっているのです。