エクストリームスポーツの第一人者

安床ブラザーズの父である由紀夫さんは、1980年代ローラースケートを履いたダンサーとして活躍していました。
インラインスケートは、1990年代には当時のエクストリームスポーツを代表する程の知名度を持つようになりました。
1995年には、エクストリームスポーツの頂上決戦である「X-Games」の先駆けとなったアグレッシブ・スケーターズ・アソシエーション(ASA)が発足しました。

由紀夫さんはアメリカ国内のこのような動きを知り、自らの息子たち(栄人、武士)を連れてナショナル・インラインスケート・シリーズ(NISS)へ参戦しました。
1995年に初めてX-Gamesに参戦した当時、兄の栄人は12歳、弟の武士は9歳でした。
その後2000年代には、インラインスケート界を席巻した二人は勝ち取った世界タイトルが100以上となりました。
X-Gamesで毎度優勝する為、インラインスケートの競技が大会からなくなってしまったというエピソードもあります。

現在は、由紀夫さんが設立し自身が発展させた神戸のスケートパークで、兄栄人は子供たちにインラインスケートを教えています。
安床兄弟がインラインスケートでトップに立ち続けた事で、「日本人は強いというイメージが付きました。日本人のアスリートを生み続けるのが僕らのミッションだと思っています。」と栄人は語っています。
日本がエクストリームスポーツ大国と呼ばれるようになった立役者は、自分たちの作り上げてきた世界にひたむきに向き合っています。

兄弟だからこその最強タッグ

兄の栄人は、理論派でどのような原理でトリックが成功するのか、納得した上でないと先に進む事が出来ません。
一方で弟の武士は感覚派で、新しいトリックもまずは体現してみるところから始めます。

兄がアメリカ遠征の度に知識を持ち帰り開発した新たなトリックを、弟が体現してみせるのが安床兄弟のスタイルです。
お互いの性質を活かしながら生み出し磨いてきた技は、本場アメリカにはないオリジナルなものばかりです。
例えば、Airで身体を3回ひねる「1080カリフォルニアロール」という大技は、現在でも誰もクリア出来ない高難易度の技です。

遠心力を使い、動きをチェンジする技術を多用する安床兄弟の史上最強の技は、「Twister」と名づけられ、縦回転の動きから遠心力を使い横回転へと切り替えます。
この技もリオデジャネイロ戦で披露してから、誰も挑戦しておらず、最高難易度の技と言われています。
こういった技の数々が未だに安床ブラザーズの名声に拍車をかけ、世界に挑戦し続けエクストリームスポーツを盛り上げ続けてきた兄弟は伝説的な存在となっているのです。